日本映画の現状を巡って-作り手から観客まで
text by : 結城秀勇 2014年の邦画劇場公開本数は615本。戦後最大の本数である。 1950年代から60年代の頭にかけて、日本映画産業は第二の黄金時代を迎えていた。映画会社は一流大学を出た若者たちの就職したい業種の筆頭であり、映画館の年間入場者数は10億人を超えた。つまり単純に計算して老若男女を問わずすべての国民が年間10本以上映画を見に行っていたことになる、そんな時代。そうした時代につくられた邦画の年間公開本数547本(1960年)という記録が、2012年の554本で破られ、その数はさらに上昇を続けている。それを単純に現在の日本映画の活況を示していると喜べばいいのだろうか。 そんな […]